しっかり準備しなさいよ
ここ最近2、3週間に一度のペースで300km,400kmクラスのブルベに出ているせいか、少し心に余裕が出てきました。いつも宅内での事前準備は実はわりと嫁さんにアレコレ面倒見てもらったりいるのですが(お恥ずかしながら、どこの世間に嫁さんにGarmin Traning Centerでのウェイポイント(転換点)入力をお願いしているランドヌールがいるだろうか)するのですが、今回は「大丈夫、今回は一人で一式準備できるから」(キリッ)といった具合、「一人でできるもん」──おっと果たしてちゃんと事前準備は出来るのでしょうか。
ところがどっこい、やっぱりといいますか、日頃のドタバタにかまけて大した準備が出来ておりません。装備類はほぼ前回出走の「グランフォンド小諸」からの引き継ぎでいいやーと手を抜き、超絶方向音痴のおいたんに必須の「ウェイポイント設定済みのコースデータ(Garmin TCX)」はいつものバディ「後輩ちゃん」に設定済みのデータをいただいたりと、ちょっとだらしがない状態。
でもまぁ「300kmだし、慣れた東京近郊だし」と、ひとまずおんぶに抱っこが多かったとは言え事前準備も格好がついてきたので出走前夜は近所のビアバーでアザミさん、むらさめさんあたりと一緒に飲んだくれておりました。
さて飲み会の最後にお楽しみの「カーボローディングじゃー」と季節の刺身(何か忘れたがたぶん鰹)の載ったどんぶり飯なんぞいただいておりました。
やあやあ! 都市型ブルベの朝がやってきた
前夜のビールがいい塩梅に快眠を授けてくれました。スパーンと定刻に目が覚め、軽量化(隠語)を快調にこなした後、レーパンのパッドに過剰な分量のシャモアクリームを塗りたくり(ここでケチるとろくなことにならないですよね)、半袖にメリノウールのアームカバー(寒がりなので6月上旬あたりまで必携です)、下半身はレーパンに裏起毛のレッグカバー(寒がりなので以下略)の出で立ちで出発地の木場公園にやってきました。
朝焼けの眩しい木場公園は東京のいわゆる墨田江東といいますか、墨東地区にあります。ここ20年ほど(17歳じゃなかったのか)過ごした土地の割合は神奈川半分10年、東京半分10年といった具合ですが、この木場公園のあるあたりを含む墨東地区は、恐らく都心でも最後であろう下町の心遣いが残る一帯だったりします。(そう勝手に思い込んでいる)。
なんていうんですかね、例えるならば、道行く人々がスッと程よいパーソナルスペースを維持しつつ行き交っていたり、落とし物をした時に「落とし物ですよ」「拾ってくれてありがとう」という当たり前のやり取りが成り立つといいますか。親切が仇で返される事も多い昨今の東京砂漠(いつの言葉だ)に今日も残されている潤いのある地域です。なんとも居心地が良い。
今回のブルベは「オダックスランドヌール日本橋」主催のブルベ「BRM520 日本橋300」、「ぐるっと東京/Le Tour de Tokyo」なんて愛称が付けられております。その名の通り東京近郊をぐるりと一回りしてくるコースです。コースプロフィールを見る限りは道半ばにある「都民の森からの風張峠」さえ越えてしまえばあとは下り基調、そんなに難しいこともないんじゃかないかな、そんな気持ちでおりましたが……
AJたまがわでお世話になっているカマノさんに挨拶したり、後輩ちゃんと今日のプランをあれこれ話す間に出走開始の時間が迫
ってきておりました、車検を経て東京イーストサイドからの旅が出発です。さてどんな一日になりますやら
じわじわと這い寄る混沌、その正体は?
なにやら意味ありげな見出しで始まりましたが、青空は快晴、スッキリと抜けるようなブルーの空の下、蛍光ベストに身を包んだ出走者の皆様と快走します。ぶーんぶーん。さて信号だ、ハイストップ。信号青だ、ぶーんぶーん。ハイストップ。ぶーんぶーん…ストップ、ぶー…ストップ。あれれ、ちっとも進みませんねー。
「まぁ東京都内はね」なんて話をしつつ、第一京浜(R15)、浜松町あたりを走っていると大きな横断幕。「TOUR OF JAPAN開催による交通規制のお知らせ」いよいよ来週、5/28に開催されるんですね。このあたりを走っていつも通り大井埠頭のあたりに行くんでしょうね、そんなことを考えながらぶーんぶーんと進んでいくのでした。おっと、赤信号、ストップ。
札の辻から海岸通りに入り、天王洲あたりの朝の海、水面のキラメキを眺めつつ大井競馬場前を通過、そうそう近頃話題のヤマト運輸の羽田にある一大拠点「クロノゲート」前を通り過ぎて羽田空港近く、天空橋を過ぎた所で本日最初のフォトチェック(通過証明のために写真撮影するところ。今回のコースではこのフォトチェックのポイントが多く設定されているのが特徴)「羽田 旧穴森稲荷大鳥居」です。
まだまだ序盤、では早速次に向かいましょう。六郷土手を越えて多摩川沿いの土手をずんずんと。ここはちょっとだけペースが上げやすかったです。やがて二子玉川あたり……おっとこの見覚えのある交差点。ここでも信号待ちでした。
多摩川沿いにしばし移動が続きましたが、水道橋でぐいっと右岸にシフトして中野島を過ぎたあたりで内陸部へ。多摩丘陵地帯に差し掛かったのかだいぶアップダウンが多くなってきます。よみうりランド手前でちょっとした登り区間に差し掛かり「ここが噂のよみうりランド坂」「なかなかハードですねー」なんて話をしながら進んでいきます。おっと、また赤信号だストップ。
ちょっとした長さの「よみうりランド坂」を半ば登り終えた所で本日のPC1「セブンイレブン 川崎よみうりランド前店」に到着です。さして無駄な時間も使わず、休憩も無しで来たのに何故か貯金が30分未満。「こりゃいかん」と急ぎコンビニで会計を済ませて出たいのですが、人気の観光地、休日ということもありレジ前は大渋滞。結局15分ほど時間を使ってしまっての出発となりました。
「いかんぞこれ」「想像以上の信号峠(信号だらけで峠道ばりにペースがでないこと。進むのが厳しい様子のこと)でしたね」「ともあれ次を目指そう」後輩ちゃんとペースの悪さを気にしつつ、先に進みます。
町田街道のあたりもまずまずな交通量。走って、止まって、また走り。ひたすらこれの繰り返しです。「都会だなー」「車多いですねー」「神奈川の首都、まちD…」「ささ、先に進みましょう(話を逸らす)」この間もひたすらストップ・アンド・ゴーを繰り返します。
八王子あたりのトンネルを抜けて、緑濃い一帯「ちょっと登らせるなー」というあたりを越えたらそこには「戸沢峠」という看板表示がありました。「だいぶ疲れてきましたねー」「しかも暑いねー」「信号で全然ペースもあがらなかったですしね」
気温が勢いよく上昇していき、ガーミンの温度計(こいつはちょっと大げさな感じに値がでます)は28℃。上腕部、太腿あたりが紫外線に晒されてじわじわと焼ける感触が気になってきました。PC2までもまだちょっと距離があるしと少しコンビニで休憩。無理をして先に進もうとし過ぎるとかえってペースがあがらなくなるので一休みすることにします。
ブルベと言えばお楽しみの一つが「コンビニグルメ」でありますが、ファミリーマートにある「フラッペ」が初体験のおいたん、こやつが超お気に入りになりました。
「後輩ちゃん、これが気になる」「こやつはですね、このカップの中の氷塊をモミモミと揉んで砕いて」「ふむふむ」「そんでこのディスペンサーからミルクをかける」(ぶしゅーぶしゅー ← 噴き出すホットミルク)「うおおお(本日一番の高揚感)」「そんでこの太い専用ストローでもみもい」……(ごっくん)
これがまた暑い日のブルベには最高の清涼感と甘さでして、夏場ブルベでファミリーマートに立ち寄ることがあったらリピートしてしまいそうです。(実は今回もこの後もう一回食べる機会を得ました。ムフフ)
さてあんまり長く休むことは出来ません。だいぶ交通量が少なくなったとはいえ、東京近郊、そこかしこが「わりと都会」。信号は結構な数があります。ようやく28km/h前後の心地よい速度で巡航できたかなーと思うと、わりとすぐにストップ。これはいろいろと試されることになりそうです。脚力とか精神力とか集中力とか。
秋川街道のあたりまでくるといよいよ本日のメインステージである都民の森、風張峠を意識します。脚を使いすぎないように。各所に疲労を溜め込みすぎないように……といきたいのですが、いかんせん「暑い」「ペースがあがらない」
ようやくPC2「セブンイレブン あきる野戸倉店」に到着。貯金は……ほとんどありませんね。「うええー疲れたよー休みたいよー飴なめたいー(謎)」「暑いですねー、死ねる」「何か手を打たないと」「死ねる(2度目)」
来たる峠道に備えて一計を案じ、冷凍された飲料水ボトルとクーリッシュをお手製蛍光ベストの背中ポケットに入れていくことにしました。これがとても良い! 「なんとなーく背中涼しいですよ」「快適じゃー」 腰部のあたりが若干ではありますがひんやりとしておりまして、ちょっとした慰めにはなってくれそうです。
そうです、何よりも今回の敵は「時間」。向かい風でも、雨でも、獲得標高でも無く、最大の敵は「時間」なのでした。「そ、そうだったのかー(ガーン)」「日本橋ブルベ、これすなわち、信号との闘いなり」
PC1、PC2共に疲労回復には至らぬ僅かな時間の休憩となりましたが、ようやくここにきて意味不明な悟りを得た一行は、これからインパール作戦もとい、修羅の道のり「都民の森・風張峠」へと進むのでした。
昼下がりの峠道、灼熱無限回廊の如し
ようやく信号峠と無縁の世界にたどり着いたかと思うと、今度はホンモノの峠。序盤のアプローチ部からわりとガッツリ登りが続きます。約18.3kmで329mアップ。その後本格的な登り区間に入り12kmで660mアップ。この疲れきった身体と貯金の無い状態で登っていくのはベリーベリーハード。
7時発と思われる後続ライダーが数名「お先にー」と抜いていきました。「脚がある御方はよいなぁ」「それに較べて我々のこのペース」「理論上では無借金で峠までいけるはずなのですが……」ところがどっこい甘かった。
体力が続かず途中で休憩を挟んだり、どんどん下がるペースのお陰で風張峠に着いた時は見事借金30分「返済じゃー、下りで返済するんじゃー」「ともあれ一旦休みましょう」「そうねそうね」
峠道でご一緒になった参加者の方々と「いやーしんどかったですね」なんて会話を交わしつつ、あまり長く休むわけにもいかないので、ここからダウンヒル、借金返済の旅へと出ます。ここでどこまで巻き返せるかが完走に大きく関わってくるでしょう。後半に差し掛かり、夜になりますのでペースダウンは必死です、なんとか貯めたい、猶予時間。
下りが多いものの、登り返しもまたあり、体力的にも限界を感じる中、歯を食いしばって漕いで、漕いで。脚力的に勝る後輩ちゃんに曳いてもらうことが最近すっかり多くなってしまいましたが、この区間だけはおいたん頑張りました。「ふぬぬぬ」残った脚力を絞ってなんとかペースアップに努めます。
少し頭のなかにお星様が飛び交ってきて昇天しかかったあたりでPC3「セブンイレブン 奥多摩古里店」。このままではいかんと禁じ手を使うことに。
──シュンケル。それは、シュークリームとユンケルを同時接種すると、劇的な疲労回復を得られる奥義
ご存知ない方は詳しくは「シュンケル」で検索して下さいな。これを思いつかれた方はすごいなー、ほんとに効くんですよ、コレ。但し「元気の前借り感」が激しく、翌日に激しくポンコツ化してしまうので、常用がキケンなのですが、ここはもう打つ手がありませんので「秘奥義 シュンケル」でこの後の体力を得るとしましょう。
そうそう、借金返済には無事成功しました。但し貯金30分。「どうにもこうにも1時間とかは貯まらないのねー」「恐るべし……恐るべし……」
朝に挨拶させていただいたカマノさんとちょうど話をできるタイミングがあったり、だいぶ日が暮れてきたので早めにアームカバーをつけたり、急いで支度を整えて出発「今日まるで休めたタイミングがないねー」「しょうがないですねー」「もうー」しぶしぶと走るとします。この先、あまり辛い坂がありませんように。
夜戦開始! 怒涛のフォトチェック
走るうちにみるみると日が暮れます。秘奥義シュンケルは効果をバッチリ発揮し、身体には若干以上の力が漲っており、なんとか走れそうです。「八国山緑地おおぞら広場」のフォトチェックに差し掛かりましたが、ペースの合っていた参加者の皆様と「日暮れ時だし、ダートは避けよう」ということで公式に設定された迂回路へ。なんとかポイントとなる信号を探し出し、写真を一枚。
あとはひたすら走るのみ。徐々に都市部に戻っていきますので、信号もまた増えてきます。裏路地を走るケースも増えてきますので一層要注意。青梅市、狭山湖を通り過ぎたあたりの記憶はほとんどありません、ただひたすらに集中して、走る。ペースを落とさないこと。ただ一心にそれだけに集中して走った2時間、3時間ほどでした。
途中一度の休憩を挟み、和光市を越え、赤羽に差し掛かったあたりで「ようやく帰ってきたー」という実感。懐かしの東京都心部、と思いき荒川を渡り郊外へ。PC4「セブンイレブン 足立古千谷本町3丁目店」に到着。ここでようやく貯金40分ほど。「まだまだ油断できないね」「深夜になりますからねー」あまり休む間もなく再出発。残距離も2桁ですし、あとは勢いでどうにかなるでしょう。
幸い体力が続いてくれてあまりペースを落とさずに「水元公園」のフォトチェックを通過、勢いを借りてPC5「セブンイレブン 江戸川篠崎町2丁目店」に到着です。そうそう、今回のブルベでは暑さにやられたせいかこの数時間固形物がなかなか喉を通らない状態でしたが、日が落ちて夜走るうちに徐々に回復。
ようやくこのへんで「お腹が空いたな」という感触が戻ってきました。「ブルベ中の体調不良はブルベをしながら回復させよう」を地で行く展開。
さてここからは怒涛の消化試合といった様相。湾岸部に出て「葛西臨海公園」「若洲海浜公園」「青海埠頭公園」といった3連続のフォトチェックをこなします。距離も短いですし、テンポよく、信号の少ない一帯もあるので、ここで万が一に備えての貯金を一気に稼ぐとします。「ふおおお」「走るしかないでしょー」「ぬおおお」「ぐぬぬ」「脚が脚が」「千切れるぅぅぅ」
残り12km。「さぁ一気に走り抜けようー」としたところ、ここで一気にペースダウン。気が抜けました。残距離も短く猶予計算もキッチリ働くあたりにつき、のんびり進むとします。豊洲を抜け、朝通過した築地を横切り、昭和通りを越え中央通りへ。深夜の銀座の街並みを越えてやがて日本橋。ようやく最後のPC「ナチュラルLawson 東京日本橋一丁目」に辿り着きました。
「いやー、厳しい一日だったね」「一人だったら走り切るのが難しかったですよ」「いや全く」「なにはともあれよかった」二人で意識高くプロテイン飲料なんかをゴクゴクやって、一日を振り返ります。
あとはすいすいーっとゴール受付のある水天宮のジョナサンを目指します。しばしの順番待ちを終え、フォトチェックの照合、ブルベカードにPC通過時刻を記入していただき、自らのサインを終え……これて無事に終了です。
後輩ちゃんはここから自走で帰宅とのこと「もう食べないと走れないですよー」と食事をするようでしたので、おいたんはお先に一杯、ノンアルコールビールでもいただくとします。「ぷはーっ 至福の一杯」「お疲れ様でしたー」
認定も無事得られましたので、これで今回のブルベ「BRM520日本橋 300 ぐるっと日本橋」はおしまい。こうしたブルベで貯金をしっかり作るにはどうしたらよいのでしょうか。やっぱり巡航速度アップと山岳でもりもり登れる脚を作るのか。ともあれ、なんとか無事にゴール出来てよかったです。東京近郊をぐるっと巡る緊張感がありつつも楽しい旅でした。
主催の皆様方はじめ、参加された方々、有難うございました & お疲れ様でしたー!! ちょっと脚力不足な感もあり、次に参加予定のブルベ「たまがわ600」はどうしようかなーと迷いつつ。(走るのかな、走らないのかな……)
ブログを書きましたよー。「都市型ブルベに潜む罠!? BRM520日本橋300 ぐるっと東京 激走!?の旅」のんびりと東京近郊一周、都民の森・風張峠さえ頑張ればどうにかなるはずが──ところがどっこい!? https://t.co/OFTaAYQK1D pic.twitter.com/h5l7LkDf6B
— はにべあ(17歳) (@honeybear360) 2017年5月22日
……そんな訳で信号峠でドッタンバッタン大騒ぎの「BRM520日本橋 300 ぐるっと日本橋」でした。もしこのブログを最後までお読みになられましたら「読んだよー」的な意味合いで中の人(@honeybear360)にリプとかふぁぼとかRTとかいただけますと小躍りして喜びます。